私はサービス業一筋のオンナ。
デスクワークは無理だと21歳の時悟った。
今新たな職場で考える事。
入ってみて驚いたのは、バンケットの末端サービススタッフの主力がほぼ高校生で占められていること。
はっきり言って、眩暈を覚えた。
そんな団体の一員として自分も働こうとしていることが、恥ずかしくなった。

一社会人として、ホテルを利用する時間はある意味で非日常的な時間だ。
それは結婚式かもしれないし、謝恩会かもしれないし、会議かもしれないし、家族で旅行している時かもしれないし、大事な人とレストランで食事する時かもしれない。
ほとんどの人間にとっては、ホテル(ラブホは除外)
とは、一種の緊張感に襲われるであろう。
小説家や大会社の重役や政治家でもない限り、仰々しい制服を着て、畏まった挨拶を受けたら、こちらも背筋が伸びる思いがしても当然だ。
少なくとも私はそうだった。
そして実際その現場で働いてみて思った。

ホテルという場所の特殊さ。
宿泊のみを提供するビジネスホテルでも論外ではない。
様々な場所から、それこそ数え切れない程の目的を持った人達がひとつの場所に集まる。
同じひとつ屋根の下で、その一瞬を共有する。
すごい偶然だ。
高い天井。煌くシャンデリア。行き交う無数の知らない人間。それはやはり非日常的であろう。
そんな場所に来る人が一体何を求めているのか。
何を期待しているのか。

敬語もろくに喋ったことのない高校生が、同僚にもろくに挨拶のできない16歳の子供が、2時間程度の研修を受けて、制服を着て、そのホテルのホワイエを自信なさげにおどおどと歩いている。
婚礼と宴会は別モノらしく、婚礼のサービスは全てコンパニオンさんが行なっていた。
香水の香りをを半径1M四方にまきちらし、濃いメイクの顔を営業用スマイルで飾り、マニキュアをキレイに塗った爪で料理を運んでくる。
私は決してコンパニオンさんの仕事を見下しているわけではない。
ただ仕事には領域というモノがある。
私達は、その狭いかもしれないが決して限りのないであろう領域の、プロとなるべきではないのか?
サービススタッフの仕事は、えてすればよく見下される。
「ただの料理運び」
「人に頭ばっかり下げてる」
「頭で考えなくていい」
などなど・・・。
でも、その一見誰でもできる仕事の難しさ。
料理1枚出すのも決してたやすいことではない。
出しゃあいいんだ、と思ってるなら無理だが。
10人のお客様がひとつのテーブルにいる。
1テーブルにひとりのサービススタッフ。
一人目に出した料理と、10人目に出した料理に温度差があってはならない。
そのために、プロはお皿が4枚持てるのだ。

先日こんなことがあった。
ある宴会で、それはなんの変わったことなどない、
老若男女入り乱れて、ターンテーブルに並んだ料理を好きなように食べ、お酒を飲んでいる、ごく普通の宴会である。
あるテーブルの中年の男性のお客様が、水割りを頼まれた。
あるスタッフがそれをお持ちし、普通に飲み始めた。
それから15分程経ち、そのお客様のグラスの水割りは、底から数センチにまで減っていた。
すぐ側を通ったそのスタッフに「あ、おかわり」と声を掛けた。
そのスタッフは「お持ち致しました」と、スッと新しい水割りを差し出した。
お客様は大変感動された。
「すごい!!」周囲にいらっしゃったお客様も、口を揃えて「さすが!!」「スゴイ!!」「チップチップ!!」などとおっしゃる。
その後も、お客様が「あ、ちょっと」と声を掛けられる寸前にそのお客様の前には新しい水割りが置かれていた。
ただ水割り一杯を差し出すだけで、「お、さすが!!」などとお声を掛けられる。
お開きも近づき、みな酔っ払った中で、近くにいらした女性のお客様が「今日はどうもありがとう。色々お世話かけまして」と、そのスタッフに声を掛けた。
私は、「とんでもございません、ありがとうございました。お気をつけてお帰り下さいませ」
と、お答えした。
私は、何も特別なことをしたわけでない。
お客様がお声を掛けられるのを見越して、お持ちしただけである。
最初の1杯目をお持ちした時点で、おかわりを頼まれることは分かっていた。2杯目は少し濃い目にお作りしたものをお出しした。1杯目にお出ししたものより、約5分程ピッチが早かった。
これでお客様の好みがわかる。あとは同じ濃さでお作りしたものをお出しした。
私はなにも特別なことをしたわけではない。
それが、仕事だ。制服を着てお金をもらっている。
私の仕事だ。
礼も満足にできない高校生ではないのだから。

いろいろな意味で、働いてみなければ解らない職業だが、コンパニオンさんとの違いは何か?
なぜわざわざ違う制服を着せ、濃いメイクやマニキュアが許されるのか。
誤解の無いように言えば、お客様をいい気持ちにさせる、それ大きなひとつの共通目標であろう。
最終目標は一緒である。ただそのアプローチが違うだけである。コンパニオンさんには、会話という大きな武器がある。お客様のお好きな話題や、最近の時事、あらゆる知識を総動員して、お客様と楽しい会話を通して、満足いく時間を過ごして頂く。
その為に、女性であることの美点を強調しても構わないのだ。
だが、婚礼にはそんな目的はないはずだ。
なんの為にたくさんのお客様が集まっているのか?
キレイごとだが、それは新郎新婦を祝福するためである。もちろんお酒も食事もあるが、宴会との一番の違いはそこだ。
それなら、なぜそのホテルは婚礼のサービスをコンパニオンさんが行なうのか?
それは簡単。高校生には婚礼のサービスなど任せられないからだ。
ホテルで行なわれるれる業務の中でも、最も緊張感を要する婚礼。
宴会と違い、お客様も幾分緊張されている。
お着物をお召しになられたお客様もいる。
そんな中に高校生などはとても放り込めない。
ではちゃんとした社会人を雇えばいいではないか。
でも雇わない。何故か?人件費がかかるからだ。

全くお話にならない。
人件費をケチって高校生を一般宴会で使い、
婚礼では危なっかしいので、コンパニオンを使う。
私から言わせてもらえば、たとえ一般宴会であろうとも高校生を使うのは、なんともプライドのないことかと思う。
そのホテルで働く人達のプライドは、僅かな人件費を出し惜しみして高校生を使っていても、全く恥ずかしくない程度なのだ。
初日にスローガンなるものを書いたモノを渡されたが、これをお客様に向かって堂々といえるのか?
私から言えば、仕事の進め方にムダがありすぎるし、それを短縮すれば拘束時間は大幅に短縮されるて、その分人材の確保に回せる。
金をケチるところが違うのだ。人件費を出し惜しみして、高校生を使うくせに婚礼では使えないのでコンパニオンを使う。その上一般宴会でもコンパニオンは働くわけだから、二重にムダである。
そして設備にも金を惜しむから、セッティングにも時間がかかり、ムダな給料払っている。

まったく理解不可能である。
田舎で競合する相手など結婚式場2つしかないのに、年間婚礼件数が減ってきているのも納得である。あんな婚礼わたしならゴメンだ。

仮にもメジャーな一流ホテルと言われているのだ。
その看板を背負っているのだ。
田舎だからとか、都会だからとかカンケーない。
系列のホテルに研修に行ったなら、自分とこのホテルを恥ずかしく思えるはずだぞ!!

あ〜〜すっきりした。
スイマセン、色々納得いかない事が多くて。
私の前後の日記を見て、名前が見当ついていても、
どうぞ御内密にお願い致します(笑)

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